第4章 夏休み開けて
霧が晴れる頃に 69話 登校!
9月1日
生徒たちの1ヶ月ちょっとぶりの挨拶が飛び交う中、仁はいつも通り眠そうに登校を終えて机に突っ伏していた。
「仁、おはよ」
「霧ケ谷君、おはよ~…」
ポン、と背中を叩き挨拶してきた慶と林、いささか林に元気がない。
慶のさらに奥の席に座った林に仁はけだるい体を起こして話しかける。
「どうした?元気ないじゃん」
「眠い~…ふぁぁ…」
本当に眠そうに言う林の眠気の理由を考えて見れば答えはすぐに出た。
「そんな遅くまでやったのか?宿題」
「う…」図星だろう、決まり悪そうな顔をして林はおずおずと答える。
「3時くらいまで…」
「大丈夫かよ…」
林の顔を覗き込んで仁があきれたような心配なような声で言うと林はからげんきを出す。
「だ、大丈夫だよ!」
一応いつも通りの林になったところで楓も来る。
「おはよ、林、宿題終わった?」
「なんとか~…」
気にしていたのだろう、真っ先に宿題の事を聞いた。
「ちなみに慶は?」
仁がふと疑問に思い、聞いてみれば慶は堂々と言い放つ。
「なんにもやってない!!」
…一瞬の静寂の後
「うわぁ、霙はこんなに頑張ったのに…」
「なんにもやってない…なんて」
「バカ過ぎる…」
仁、楓、林の順に言葉を繋いで慶に言う。
「だ、だって時間なかったし!良い子だから10時には寝るし!他にもやってない人いるし!」
必死の反論をする慶だったがそんな言葉が通用する仁達ではなかった。
「時間…は俺と条件変わらないだろ、な、慶」
「10時に寝る…か、つまり眠くなったら寝てるってことね、やる気ないってことじゃないのかな、雨宮君…」
「他にやってない人…ってそのやってないダメなグループに入るんだね、慶ちゃんは」
怒涛の攻撃をくらい慶はノックアウトでズルズルと椅子から崩れ落ちる。
「さ、座ろ座ろ」
もうすぐ五十嵐もくるころだと、慶を見捨てて五十嵐を待った。