第3章 夏休み後半
霧が晴れる頃に 68話 ドクターフィッシュ
「かっ…くっくは!」
林が変な声を上げる理由は水泳大会の賞品、ドクターフィッシュ体験で4人で小さなドクターフィッシュがたくさんいる水槽に足を突っ込んでいるのだ。
水泳大会の結果は慶が優勝、慶と第1レースで競った選手が2位、第5レースの筋肉の選手が3位だった。
(筋肉の人のが速いと思ったんだけどなー…)
第5レースは他に競る人がいなくて断トツだったので速く見えたのだろう、足に纏わり付くドクターフィッシュにされるがままになりながら仁がぼーっと考える。
「なんか…ハラハラして疲れたね…」
楓が少しグッタリして水槽の中の小さな魚達見ながらを頬杖をついて言った。
「お?それは雪原さん、俺の勝利を願ってのことかな!?」
慶が茶化す様に言うが楓はそれを愛想笑いでごまかす。
うちひしがれた様に派手なアクションを取っている慶をほおっておいて仁はしみじみ言う。
「夏休み…終わるな」
今日は8月14日、夏休み残すところ2週間となったがイベントは大体終わってしまい後は部活に励むだけである。
「宿題が…くっ…くは…」
くすぐったくて仕方ない林がなんとか言う。
「まだ2週間あるからなんとかしろよ…」
「部活あるし…そんな時間はない!」
仁と同じ条件であるはずの慶が時間がない発言をした。
(まさかやんない気じゃないだろうな…)
仁が慶が宿題やるかを懸念していると「ま、やんなくてもいっか」と、慶が言い切った。
呆れる仁
宿題をやる気がない慶
やる気はあるが終わる気がしない林
とても面白いかの様に笑う楓
4人の夏休みはもう終わりになるのであった。