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霧が晴れる頃に

第1章 入学


霧が晴れる頃に 24話 2人の実力

すぐに決まったポジションに分けられた後、仁はSの列に並び(仁ともう一人2年生がいるだけだが)WSにトスをあげるという練習をした。
意外と気の利くのと、決して身体能力は高くないが頭の回る仁はサポート役となるSは最善のポジションだった。
「お、慶か」
「ナイストス頼むぜ、仁」
トスを上げるのが慶になると仁は(こいつには高めが良いか)と、判断し狙いとは少し違うが大体思った高さに上がったトスを慶が打ち抜く。

初めてにしてはなかなかの精度でトスを上げる仁に練習全体の動きを見ていた主将、黄砂は(これはなかなかだな)と思っていた矢先、仁が上げたトスをめちゃくちゃなフォームで豪快に打ち抜いたのは高身長で少しデカノッポとあだ名が付きそうな1年生、雨宮慶だった。

ズガァァァン!

バズーカでも打ったのかとでも思うような音でボールを打ち込むと、ボールが向かう先には水筒等がおいてある場所…

パッカーン

ボウリングのごとく吹っ飛んだ水筒を慌てて戻しに行く慶とそれを頭を抱えて見ている仁を見て(試してみるか…)と、黄砂は4対4の試合をやると告げ、コートに立たせた。もちろん仁と慶は同じチームだ。

ピーーーーー

黄砂は持参しているホイッスルで試合開始の笛を鳴らした。
サーブを綺麗にSにあがるようレシーブした2年生に感謝しながら仁は(さて、早速…)と、慶に打ちやすいフワッととしたトスを上げればやはりめちゃくちゃなフォームで打ち抜く慶のボールの音は凄まじい。
そんなプレーを続けていく1年生2人に(本当に未経験者か!?)と、黄砂は知識と判断の良さの仁と誰よりも早いスパイクを打つ慶に惑わされながらも期待が胸の奥から沸き上がってきたのだった。
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