第35章 -冬シチュ三部作③-(青峰/宮地/木吉)
「でも、ほんとに今日は寒いね。」
「あぁ。雪でも降りそうだな。」
「雪⁉︎ほんと⁈今日降るの⁈」
わたしは思わず興奮して
大輝に聞いてしまう。
「それはさすがにわかんねーけど。」
「雪、降らないかなぁ。」
わたしは大輝にくっついたまま、
夜空を見上げた。
今日は残念ながら星は見えない。
「なんでそんなに
雪降ってほしいんだよ?」
大輝は寒いと起きる気がしねーと
ブツブツ文句を言っていた。
「初雪…大輝と見たいんだもん。」
「は⁈」
大輝はポカンとしていた。
「だって、初雪って
1年で1回しかないんだよ!」
「まぁ…そりゃそうだろ。」
「そんな貴重な瞬間に
大好きな人と一緒にいられるなんて
ステキでしょ?」
「…っ⁉︎⁉︎」
「大輝??あ…呆れた⁈
ちょっと子どもっぽすぎたかな⁈」
大輝と付き合うことになったのは、
今年の夏の終わり。
大輝と一緒に過ごす冬は初めてだった。
だから、一緒に見られたらいいなって、
密かに思っていたんだけどな…。
大輝が何も言わないので、
わたしはだんだん
恥ずかしくなってきてしまった。
「…見れんじゃねーの?」
「え?」
「…初雪。」
わたしがポカンとしていると、
大輝は急に立ち止まり、
わたしの目をジッと見て言った。
「要はずっと一緒にいりゃいいんだろ?」
…‼︎
「そうすりゃ、初雪なんか、
毎年一緒に見られんじゃねーか。」
「大輝っ‼︎」
「おいっ‼︎」
わたしは嬉しくて、
そのまま大輝の胸に飛び込んだ。
「うん‼︎毎年一緒に初雪見る!
ずーっと大輝と一緒にいる‼︎」
「しょーがねーから、
毎年一緒にいて見てやるよ。
でも…」
「でも…?」
……チュ。
…⁉︎
顔をあげると、
そのまま大輝にキスをされた。
「大輝‼︎そ…外だ…」
「寒いからちゃんとオレのこと、
あっためとけよな。」
わたしのことばが言い終わらないうちに、
わたしは大輝に抱き締められていた。
「うん‼︎」
あっためてもらってるのは、
わたしも同じだった。
「あ…」
大輝のことばに顔をあげ、
2人で空を見上げると、
真っ暗な夜空を飾る
キレイな粉雪が舞い始めていた。
---End---