第34章 -冬シチュ三部作②-(青峰/宮地/木吉)
-木吉鉄平×年下幼なじみ-
「鉄平くーん!帰ろーう!」
…⁈
「あぁ。帰るか。」
いつもと変わらないすみれ。
すみれは部活が終わると、
着替えてから、
オレを部室に迎えに来る。
「鉄平くん?どしたの?」
…っ⁈
不思議そうに
オレを見上げてくるすみれ。
より近づこうとするからか、
すみれはオレの両腕をギュッとする。
それもいつも通り。
いつもと違うのは…オレだ。
すみれの発言やすみれの行動…
ひとつひとつに意識してしまう。
あの時…あの公園で、
すみれに頬にキスをされてからだ。
すみれのことは好きだ。
すみれは小さい頃から
オレのあとを追いかけてきて、
オレの側を離れなかった。
すみれを守るのは自分だと、
小さいながらに思っていた。
オレの…可愛くて大事な…
幼なじみだと思っていた。
誰にも渡したくない妹のような存在。
「それでね、駅前の…
鉄平くんてば‼︎聞いてる⁈」
「んっ⁈お…おう。聞いてるぞ。」
突然、ご立腹したすみれが、
オレの前に立ちはだかる。
「じゃあ、
なんの話してたでしょーか?」
「……。」
すみれの質問に答えられない。
当たり前だ。
すみれの話を聞いていたのではなく、
すみれのことを考えていたのだから。
「ほらぁ!
やっぱり聞いてなかったー!」
「すまんすまん‼︎
ちょっと考えごとしちまって…。
なんの話だったんだ?」
オレが苦笑いしながら謝ると、
すみれはますますご立腹してしまう。
「知ーらない!
鉄平くんにはもう言わないもん!」
そのままオレの先をスタスタ
歩いていってしまうすみれ…。
…ズキン…。
すみれにそんなふうにされると、
胸が痛む。
本当はとっくに気付いていた…
オレはすみれのことが好きなんだ…
”妹”としてではなく…
1人の”女”として…。