第33章 -冬シチュ三部作①-(青峰/宮地/木吉)
-木吉鉄平×年下幼なじみ-
「おっ!すみれ、早いなぁ。」
「えへへ♪楽しみだったんだもん。」
楽しみすぎて、30分も早く着いて、
1人でベンチに座って待っていた。
でも、7時の待ち合わせだったのに、
10分前に来た鉄平くんも十分早い。
鉄平くんも、
わたしと会うのが楽しみで、
早く来てくれたなら、嬉しいのにな。
「ははっ。そうか。
でも、一緒に行けば、
すみれも待たなくてよかったのに。
寒かっただろ?」
鉄平くんが頭をポンとしてくれる。
家がお隣同士なのは嬉しいけど、
家から一緒じゃ、
デートっぽくないんだもん。
「寒くないよ。それにね、
”待ってる時間もデートのうち”
…なんだって♪」
マンガの受け売りだけど…。
わたしは立ち上がって、
鉄平くんの手をギュッとして、
大きな鉄平くんを見上げた。
「そうなのかぁ。
すみれは物知りだなぁ。
でも、やっぱり待たせて悪かったな。」
…っ‼︎
「もうっ‼︎そうじゃなくてーー‼︎」
はぁ…もうっ‼︎
安定の天然ボケ男めーっ‼︎
どうやったら、わたしの気持ち…
鉄平くんに伝わるんだろう?
そもそも、鉄平くんは、
今日の待ち合わせを”デート”だと、
思ってくれてるのかなぁ…?
「ん?違うのか?でも…」
「なぁに?」
鉄平くんがわたしの顔を
ジッと見つめてくる。
「て…鉄平…くん?」
やっと鉄平くんも…
ドキドキドキ……
「すみれ、鼻真っ赤だぞ。
やっぱり寒かったんだな。」
………っ⁈⁈⁈⁈⁈⁈
ちがーーーうっ‼︎
今のは告白とかキスの
タイミングだったでしょーー⁈
「ま…真っ赤じゃないもん!」
鉄平くんにツッコむのも忘れ、
わたしは鼻の頭を押さえた。
「ははっ。すまんすまん。」
へらっ…と笑う鉄平くん…
鉄平くんの笑顔は好きだけど、
今見たいのはその笑顔じゃないのに。
「だ…だいたい‼︎
鼻が真っ赤って、トナカイじゃん‼︎」
「トナカイ?
あぁ。クリスマスのヤツか。
もうクリスマスかぁ。
可愛くていいじゃないか。」