第15章 -内緒-(黄瀬涼太)
週1の黄瀬くんとのお昼は、
毎回あっという間で、
いろんな表情を見せる黄瀬くんに
わたしはドキドキ
させられっぱなしだった。
「すみれっち〜。あーんてして〜」
「な、なに言ってるの⁈」
「してほしいから言ってるんス!」
「そんなのしてくれる女のコ、
たくさんいるでしょー⁈」
「すみれっちじゃなきゃイヤっス!」
「恥ずかしいよ。」
「誰も見てないっスよ☆
ね?お願い!すみれっち…。」
「…っ⁈」
甘えるように顔を覗き込まれてしまい、
わたしは結局あーんてして
卵焼きを黄瀬くんの口に入れた。
「ん♪美味しいっス☆
今日も可愛いっスね♪」
また別の日は…
「すみれっち、これなんスか⁇」
「それはチーズを
春巻きの皮で包んで揚げてあるの。
チーズ嫌いだった⁇」
「チーズ好きっスよ。…♪」
「どぉしたの⁇」
「ん〜♪…んっ!」
「な…なにっ⁈
わたしは食べないってば…。」
「えー⁈
ポッキーゲームみたいなのに♪」
「ポッキーより短っ…んんっ⁈」
…っ⁈
突然、話しているわたしの口に
チーズ春巻きをポッと入れ、
反対側を黄瀬くんがパクりとした。
…っっっ⁈
チーズ春巻きを間に…
黄瀬くんの顔がいつかの時みたいに
至近距離にあった。
ニッコリとした黄瀬くんが、
そのまま近づいてくる。
…キスされるっ⁈
そう思ってキュッと目を瞑った。
…?
……?
あ…れ…⁇
「ふふ…っ…今日は…
お預けにしとくっス♪」
そう言ってあと1cmのトコで
チーズ春巻きを噛み切り、
全部黄瀬くんが食べてしまった。
「今日も美味しいっス♪可愛いっ♪」
「…っ⁈」
そしてまた別の日…
「やっぱすみれっちのお弁当、
めっちゃうまいっス☆」
「ふふ…ありがと。」
「朝と夜も作ってほしいっス☆」
「それってケータリングだよー。」
「ケータリングじゃなくて…
一緒に住むんス☆」
「えぇっ⁈」
「すみれっち一人暮らしなら、
ちょうどいいじゃないっスか!
そしたらずっと一緒にいられる!」
前に口を滑らせ、
一人暮らしをしていることを
黄瀬くんに話したことがあった。
…っ⁈
「すみれっち…
オレと付き合ってください。」
わたしは黄瀬くんに告白された。