第5章 止められない想い。【裏要素あり】
少し前までほとんどの時間、悠が傍にいて肌を合わせていたため、今は悠が服を取りに隣の部屋に移動した距離すらも遠く感じてしまう。
彼が戻ってくるまでの本の少しの時間が長く感じられ、私は悠に想い焦がす。
ーーー悠……早く傍にきて…抱き締めてほしいよ…
悠「…… 花音。お待たせ。そんな顔して……寂しかったの?」
着替えを手に悠が戻り、ほっとする私。
彼はふわりと微笑むと手を伸ばし私の頭をポンポンと撫でた。
ーーー私どんな顔してーー?
ちゅ、
と唇に彼の熱が重なり、離れる。
悠「…寂しそうな顔してたから…そんな思いさせてごめん。……俺ずっと………お前の、傍にいるから…。」
悠は私の体を優しく抱き締めると、とても大事そうに頭を撫でた。
私は全身の力を抜き、全てを委ね、彼の手の感触に浸る。
「うん………私も…ずっと、悠の傍にいたい。…もう、離れるなんて無理だもん……」
駄々をこねるように呟く私を悠は優しく包み、髪に顔を埋めていく。
悠「ん…。離れる必要ないから。…… 花音はずっと、俺だけを見てろよ。」
耳元に響く悠の低い声は少しだけ掠れていて、甘く、脳内に響き渡る。
私はこの彼に支配されている感覚が堪らなく好きだ。
少しの隙間さえ作りたくないと、自ら彼の胸にすり寄る。
それに答えるかのように悠は私の体をぎゅっと抱き締める。
重なる肌から彼の体温と鼓動が伝わり、至極私を安心させる。
「悠の匂い……好きだな。すごくドキドキするけど……安心するの。」
私の言葉に悠は、ふっと笑う。
悠「俺も…… 花音の匂い、好きだよ。…そこらへんの花よりも、甘くて、良い匂いがする…。」
スンスンと彼が私の匂いを嗅ぐと、くすぐったさに私は体を捩らせた。
「あははっ…もぅ、悠ったら、くすぐったいってばっ」
私が笑うといつもの笑顔の悠と目が合い、瞬間、トクン、と胸が高鳴るのを感じた。
悠「花音…好きだよ。」