第46章 優しすぎて…〈花巻貴大〉
花「この際だからさ、俺も気にしてることあるんだけどいいか?」
「…なに?」
私は涙を拭きながら花の話を聞いた。
花「部活の後輩がさ、朱鳥が他校生の男子と一緒にいるのを見たって言ってんだよな。」
その言葉にギクッと体が震えた。
確かにそれは事実。
花と一緒にいられないのが辛くて寂しさのあまり、たまたまナンパされた他校生のその誘いにのった。
と、言ってもカラオケとかゲーセンとか行っただけど。
まぁ、彼女としてはしていけないことをしたのはわかってる。
「……ごめんな…さい。別に花のことが嫌いになったとかじゃなくて…寂しくて……つい……。」
花「そんなことだろうとは思ったけどな。まぁ今回は俺も悪かったし許すよ。」
花は何もかもお見通しだった。
「うぅ……本当ごめんなさい。」
そしてすべてわかっても許してくれる花への罪悪感が出てきてやっと止まった涙がまた溢れだした。
花「……ったく。ちょっと降ろすぞ?」
花はわたしをそばにあった、公園のベンチに降ろした。
花「なーに、泣いてんだよ。」
そして、私の顔を見るなり自分の制服の袖で私が流している涙を拭いた。
「だって……花優しすぎるんだもん…。私が悪いのに。」