第4章 再会と離別を同時に
「っ…おい」
「…あぁ 誰か来たぞ、気ぃ抜くなよ!」
焦げた匂いが漂う中、仲間以外の人間の匂いを嗅ぎつけ、一番早く我に返ったナツが声を上げる。
他のみんなもナツとグレイの言葉でやっと我に返り、いつでも動けるよう身構えた。
ただ、戦闘の出来ないウェンディは岩陰に身を潜めてしまった。
「……」
「……」
「……」
皆に緊張が走る中、黒煙から五つの影がこちらに向かってゆっくりと近付いてきた。
「こいつらが…六魔将軍…!」
姿を現したのは、ヒビキの"古文書"(アーカイブ)で見た六魔達のうちの五人。
魔法の絨毯のようなものに胡坐をかいて眠っていた恰好の男、ミッドナイトと呼ばれた男以外がいた。
此処にいる六魔の全員からは禍々しく、強大な魔力を感じる。
遂に相対した両軍。
「蛆共が、群がりおって…」
「君達の考えはお見通したゾ?」
「ジュラと一夜もやっつけたぞー」「どーだ」
「何!?」
「馬鹿な!」
エンジェルの脇に浮かんでいる二体の人形の言葉に、リオンとヒビキが信じられない、と目を見開く。
「動揺しているな…聞こえるぞ」
「仕事は早ぇ方がいい それにはアンタら、邪魔なんだよ」
「お金は人を強くする、ですね!…いいことを教えましょう
世の中金が全て! そして…」
「「お前は黙っていろ、ホットアイ!」」
コブラとレーサーにツッコまれ、やっと黙るホットアイ。
敵を前にしているというのにこの余裕。
やはり作戦を立てたとしても一筋縄ではいかないようだ。
「…まさかそっちから現れるとはな」
「…おい」
「あぁ」
ナツがゴキッと指を鳴らし、グレイと共に走り出す。
「「探す手間が省けたぜー!!」」
「「うおぉぉ!」」
連合のみんなは一斉に走り出した。
「…ふ、聞こえるぞ」
それを見てもなお、六魔将軍の奴等は余裕をかましていた。