第1章 ゾルディック
ヒソカは足を組み替えた。
「ふうん♧」
クロロはしばらくイルミを見つめた。
「待て。財閥の株を知らぬ間に半分押さえるなんてことが可能なのか?」
「ああ、増資を引き受けたんだよ。会社が資金繰りに困っていた時にね」
「……それは、会社を救ったということか?」
「そう。親父も喜んでたよ」
「なら、なぜそこまで事態が進むまで誰も気づかなかった?」
「ミルキがそこまで金を持ってるとは思ってなかったんだよね」
イルミは何でもないことのように続けた。
「ずっと部屋にいたから」
クロロは返事をしなかった。
「気づいたときには、もうミルキが支配株主になってた」
「……なるほど」
「それ以来、ミルキには家族の誰もが何も言えない」
イルミは肩をすくめた。
「束になっても敵わなかったからね」
ヒソカが面白そうに笑った。
「クク……君の弟、なかなかやるじゃないか♥」
「うん。すごいよ」
イルミは素直に頷いた。
「なのに、ああいうやつだから困るんだよね。変な女に取り込まれたら、面倒なことになる。ゾルディックの命運がかかってるんだよ」
「……どうするつもりだ?」
「俺が管理しないと」
イルミはスマートフォンを取り上げた。
「ミルキと穂乃果を探してくる」
おもむろに席を立つと、イルミはあっという間に去っていった。
二人の間にしばしの沈黙が落ちる。
「……クロロ」
「何だ?」
「今の話、分かったのかい♦︎?」
「ああ。ミルキが賢いということはな。だが……」
「何だい?」
「株を買い占めたのか、増資を引き受けたのか。話が途中で変わっている」
「……イルミは、本当に理解してるのかな♤?」
「さあな」
クロロはグラスに口をつけた。