第2章 お好み焼き
私は遠慮して後部座席の方にある取手を持った。すると出発前にちらりと後ろを見た服部くんから「なっ!!!アホぉ!!」と叱かれた。
「後ろに手を置いたらバランス崩すやろ、このそばのグラブバーを掴むでも良いけど一番は人に掴まっておくことや、俺の体につかまっとったら良い」
「じゃあ失礼します」と心の中で呟き、そうっと服部くんの腰に腕をやった。意外。服のパサパサとした感覚があり抱きしめてる感は薄い。遠慮がちに、でも振り落とされたら死ぬのは私なので確実に、両腕を交差させ、身体を巻きつけていく。彼の背中に体を引っ付かせて密着させる。そして、完全に彼のことを抱きしめる体制になった。ここから赤信号などが掛かれば一瞬後ろに身体を引かれた後に体が近づいたりしちゃうのだから服部くんの暖かさを少しだけ感じることができる。なんという距離感のバグり様だろう。その場で顔が真っ赤になって失神しそうだった。
巻きつけたはいいが少々上すぎたようで。
「ぐへぇ」
演技に近い、潰れたカエルのような声が服部くんから上がった。そのあとガチ指導が入った。
「もう少し下で掴むんや!身体も預けないと危ないやろ!」
「は、恥ずかしいよ!!」
「?どこが恥ずかしいんや?」
服部くんは恥ずかしくないんだ。思わず口が開いてしまった。
こんの鈍感男が〜っ!!服部くんは親切な人だから女の子の気持ちなんてわからないんだ!
「ねぇ、みんなこんな風に乗せるの?クラスメイトの子でも?」
「まあ」
その顔は自分がやろうとしていることを微塵も疑ってない顔だった。不美人な人でも男でも、彼は移動に困ったら二人乗りをして走るのだろう。私は愚かだ。不美人は乗せないとおもっていた。そしてその不美人の括りの中に私が入っているとおもっていた。
「じゃあ行こうか」
走り出したバイクから浴びた風はとっても気持ちよかった。普通の車道なのであんまり速度はなく乗れた。慣れたのかもしれない。それかもしかしたら服部くんが気を遣ってゆっくり走ってくれているのかもしれない。
なんとなく、前気になってたことを次の赤信号で聞いてみた。