第13章 尋問には黙秘を
窓の外に見える空はすっかり茜色を失って、すぐそばに迫る夕闇が藍色にほどけていく
薄暗い部屋の蛍光灯をつけると、山田くんが大きく伸びをした
「めぐ、サンキューな」
「二人とも忙しそうだね、何か淹れようか?」
言いながらドアに手を掛けると、山田くんが明るい声を響かせた
「いーや大丈夫!そろそろ上がっからよ」
相変わらず気が利くねェ、ふらりと立ち上がった長身、オフの日限定で見られるさらりと流れる金髪は相変わらず綺麗に手入れされている
「相澤ァ、メシ行かね?」
「行かない」
「あそ、じゃあめぐは?」
久しぶりに行こうぜ、私ではなくなぜか相澤くんに視線を向けたまま山田くんがそう言って、私はぱちぱちと瞬きをした
「それとも予定アリだったり?」
聞いたぜ、塚内さんともホークスともいい感じなんだろ、にやにやと笑った山田くんはまだ相澤くんを見たままだ
「そ、んなんじゃ」
「やけに大物じゃないの、気が気じゃないねェ」
後でゆっくり聞かせてくれよ、めぐ何食いたい?、スマホを手にした彼がするすると指を滑らせていく
この店とかどうよ、答えに困っている私の心を読むかのように山田くんが続けた
「なぁ、もしかして」
「な、なに・・っ」
「誰かの顔がチラついてんのかなァ?」
「・・っ」
どっちの顔か教えてくれよ、グリーンの瞳が好奇心にきらきら光ると頬がどんどん熱くなる、
山田くんはいつもこうだ、私の事を揶揄いがいのあるおもちゃか何かだと思っている
「、いい加減にして・・!」
「赤くなっちゃって、かーわい」
あやすような手付きでぽんぽんと頭に触れられて、私は思い切り眉を顰める
言い返そうと口を開きかけたところで、相澤くんがパソコンの電源を切りゆらりと立ち上がった
「・・行くんだろ」
「あれ、お前行かないんじゃねェの?」
「うるさい、早くしろ」
山田くんの脚を思い切り蹴った相澤くんが、するりと私の鞄を持ち上げて
慌てて追いかけた廊下、小さくくしゃみをした私の首元に彼がぐるぐるとマフラーを巻いていく
「・・相変わらず甲斐甲斐しいねぇ」
「黙ってろ」
「ふふ、ほんとに」
お母さんみたいだよね、ありがとう、一気に温かくなった首元、笑いながら二人を見上げると山田くんが呆れたように小さく溜息を吐いた