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▶︎抽出時間はそれぞれ◀︎【ヒロアカ】

第11章 吐き出す事ができたなら



幾度となく受けてきた彼女の恋愛相談、実ったものも実らなかったものも知っている
その度に自身とどこか似た部分を持つ男の存在を歯痒く感じながらも、納得と安堵を感じていたのも事実だ

巡り巡っていつかは俺の元に帰ってくるんじゃないか、柄にも無くそんな淡い原点回帰を願って



「ねぇ相澤くん、ホークス・・どう思う・・?」



消え入りそうなその声と潤んだその目が答えなんじゃないのか、これ以上俺に何を確認する必要があるんだ
俺はこの顔を知っている、かつて自身も向けられたことのある彼女のこの表情を———



「・・お前にしては珍しいタイプだな」

ああいうの好きだったか?、興味なさ気にカップを口に運ぶと彼女が悩ましげに唇を噛んだ


「うまく言えないんだけどね、ホークスと言うより」

たぶん鷹見さん?に惹かれてるの、
って私何言ってるんだろうね、俺の知らない何かを思い出すたびに上気していく頬、彼女から溢れ出る「恋」の香りが俺の目の前を暗くしていく



「・・アイツはちょっと軽いだろ」

週刊誌の常連だぞ、この心配は本物、苦い顔で見つめると彼女が困ったように微笑んだ


「そうだよね、困ったなぁ」

こいつ、全然困ってない、うっとりと蕩けた目元に酷く苛ついた俺は態と音を立ててカップを置いた


「結婚相手を探してるなら、アイツじゃない」


「・・でも、先のことは分からないでしょう?」

相澤くんが教えてくれたんだよ、瞳に滲んだ切ない色に俺の息が止まる
あの時と同じ、心地の良い風が吹き抜けて



「・・薬師、」

「ん?」


「結婚するなら、俺としないか」

冗談の域を超えている事は彼女も分かっているはずだ、表情読み取れるんだろ、愛しさと苦しさを視線に乗せる
驚きに開かれたその目が、昔から、ずっと



「・・え、相澤くんちょっと妬いてる?」


「ああ」

「いつもそんな事ないのに、ホークスだから?」

誰が相手でもいつも妬いてるよ、口には出せないその言葉を、この言葉さえ、吐き出す事ができたなら
一歩進むのだろうか、それとも取り返しの付かない事になるのだろうか



「・・アイツは特に、気に入らない」

心配性だなぁ、困ったように笑った彼女が琥珀色の角砂糖に甘い視線を落として
これ以上此処に居るべきじゃないと悟った俺はゆっくりと椅子から立ち上がった
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