第10章 夜の終わりは朝の始まり
「だからめぐさんには、啓悟って呼んでほしい」
貴女と過ごしていく中で分かった事がある、
その目が大きく開かれる時、その口元に心からの優しい微笑みが浮かぶ時、その頬が幸せそうに色付く時
貴女の胸を打つ瞬間はどれも、ホークスを演じていない時に訪れる
決して超えられなかったヒーローホークスに、俺自身を勝たせてくれる
器用に立ち回るアイツよりも、不器用でお子ちゃまな鷹見啓悟を好いてくれていると、そう思ってもいいですか
「・・恥ずかしいけど、何かしっくりくるかも」
「そう言ってくれると思ってました」
「私なんかが呼んでいいのかな、畏れ多くて」
「慣れですよ慣れ、さ、練習しましょ」
漸く存在感を放ち始めた太陽が、深い水色を少しずつ変えていく
穏やかで気持ちのいい一日の予感、夜の終わりは朝の始まりでしたね
「啓悟くん」
「なぁに、めぐさん」
「早く食べないと遅刻するよ?」
「手厳しいなぁ、もう一回あーんして下さいよ」
「ふふ、はいどうぞ」
「・・してくれるんですか、調子狂うなぁもう」
此処で過ごした一瞬一瞬を目に焼き付けて、それが終わるのが怖くて、貴女の居ないこの部屋に帰る夜がどうしようもなく受け入れられなくて
そんな沈んだ想いすら、貴女は簡単に変えてしまう
きっとまた近いうちに、次はもっと近い距離で、
私はどこにも行かないよと心からの安らぎと安心を俺に与えてくれる
「今晩寂しくなったら、電話してもいいですか」
「・・寂しくなくても、しよう?」
「あーもうホントそういうとこ」
どれだけ思わせぶりか分かってます?
とっとと気持ちの整理付けて、早く俺に「好き」を下さいよ、こっちの気も知らないで、
俺待つの嫌いなんですから、言葉にできない想いを伝えるように思い切り顔を顰めると、パンを頬張った彼女が幸せそうに笑った
「・・結婚式、いつにします」
「またそういうこと言って、軽いなぁもう」
「・・・・どの口が言ってんだか」
思わず呆れた溜息を溢すと、彼女がほんの少しだけ不服そうに手元のカップを見つめた
「今度来る時は、紅茶を持ち込んでもいい?」
「もちろん、塚内さんの高級茶葉うちに置いときましょ」
二人で飲めばすぐ無くなるけん、片眉を吊り上げ思い切り舌を出すと、彼女が声を出して笑った