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▶︎抽出時間はそれぞれ◀︎【ヒロアカ】

第9章 鍵を掛けておやすみ



給湯器のアナウンスがメロディを奏でる、待ってましたとばかりに手を伸ばした彼女を制するように、俺は透明なその瓶を掴み取った


「あーこれはダメ、勿体ない」

「え!?せっかく買ってきたのに・・っ」

「当分ここに飾っとくんで」

それじゃ意味ないよ、引き下がらない事を決めている丸い瞳が俺を睨んで、瓶を奪おうと俺の隙を狙っている


「今日はあっち使いましょうよ」

今日は、の部分を強調するように声を出すと顰められたその眉、俺の指さす先を見た彼女が怪訝そうに首を傾げた


「私のより、塚内さんのがいいの・・?」

何言ってるんだ全く、呆れた溜息が漏れそうになるのを何とか堪えて笑顔を作る
花の形をしたそれが彼女の手に鎮座するのを見て、憎たらしい桃色を俺は睨みつけた


「コレはまだ使いたくない、でも常備されてる入浴剤は味気ない」

間を取ってそれでどうです?いい考えでしょう?、必死さが悟られないようにへらりと眉を下げると、彼女が悩んだように視線を巡らせた


「・・でも真さんにお礼と感想伝えたいしなぁ」

「全然、伝えたらいいと思いますよ」

「え、だって今日使うんでしょ?」

「ん?だから今日使った感想を、」

驚きに言葉を失っているその様子に、やっと合点がいく
じわじわと染まる耳を隠すように彼女が髪を流した


「わ、私は入らないよ・・!?」

「なるほど、そう来ましたか」

全く、手の掛かる人だ、心の中でそう悪態をついてみても、みっともなく頬が緩んでいく
好きな人との応酬は長ければ長いほどいい、当然だ


「俺だけ入れって?」

「だってここは・・!」

「貴女が入浴もできず窮屈な格好で一晩過ごすのを横目に」

ゆっくり風呂に浸かってリラックスしろと?、冗談じゃない、本心のままに思い切り顔を顰める、彼女にはこれが一番効くはずだ


「めぐさんが入らんなら、俺絶対入りませんよ」


「着替えもない、し」

「やって下さいよ、彼シャツ」

「か、彼じゃないもん」

「あれ、違いましたっけ?」

「えっ・・違う・・よね・・?」

「っはは!俺に聞かんで下さいよ」

めぐさん次第なの分かってるクセに、ずるいなぁ、彼女が折れるまであと数秒
葛藤するその表情をまじまじと見たい俺は、視線を合わせるように彼女を覗き込んだ
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