第4章 ゴールデンドロップ
「・・理由、聞かないんですね」
「ふふ、聞いてもいいの?」
「・・・・ダメ」
くすくすと響く愛しい笑い声、胸の中がぎゅっと掴まれて捻られて痛い
死ぬほど好きです、付き合って下さい、結婚して下さい、毎日側に居て下さい、
可愛いですねを超えるひと言、ああ絶対今じゃないよな
「公安は、外部に言えない事が多いだろうし」
「・・・・ですね」
「理由は聞かなくても、ホークスに元気になって欲しいから」
温かい紅茶を淹れるくらいしかできないけど、いつでも立ち寄ってね、彼女が思い浮かべているのは陽の差し込む清らかなあの部屋
違うんです、
俺貴女を汚したいんです
あの部屋じゃない、もっと暗い場所で
紅茶の香りなんて分からないくらい俺で溶かして、絡めて、泣かせて、汗だくになりたいんです
だってあの人とは、それをシたんでしょう?
「・・やっぱ俺、お子ちゃまですかね」
「え・・!もしかして、それを気にしてるの!?」
「っはは!」
焦ったように息を飲んだ彼女に思わず吹き出す、まだ当分本心なんて見せられやしないと小さく溜息をついて
ゆっくりと開いていく茶葉のように美しく、その待ち時間のようにもどかしいこの恋の最後の一滴は、絶対に俺にくださいね
「・・ゴールデンドロップって言うらしいですよ」
「え?」
「紅茶の最後の一滴です、知ってました?」
高級茶葉の説明書きに書いてありました、静かにそう言うと彼女は感心したように呟いた
「ホークスも紅茶が好きなの?」
「何言ってんですか、貴女が好きなんですよ」
「ふふ、もう元気になったみたいだから切るね」
もどかしくて幸せで、足りなくて満たされて、
こんな風に俺を振り回したこと、いつか必ず仕返しさせてもらいますからね
「・・来週二人でご飯行きません?」
「ぜひ!」
「はは、軽いなぁ」
「ホークスには言われたくないよ」
やっぱり俺、待つのは苦手です
熱いのを注いで、一瞬で貴女を開かせて、なんなら茶殻すら残さず全部飲み込んでしまいたい
どう考えても紅茶を淹れるのには向いていない、食べたいものを真剣に考える彼女の声に耳を傾けながら、俺は自分の幼稚さに苦笑した