第3章 初めては全部
午後の演習が終わり生徒たちに着替えを促すと、その足で職員室のデスクへと向かう
ただでさえ眠気の強まるこの時間帯に会議を設定するなんて主催者の気が知れない
机上の資料を手に部屋を出てのぼった階段、新しい警備システム導入に関する打合せ、とか何とか、印字されたその文字に溜息を吐いた
「先生、さようならー!」
「はい、さようなら」
渉外担当を引き受けた事を後悔しない日は、今のところ一日も無い
部屋の前に到着するとすでにメンバーが揃っている気配、目の渇きを誤魔化すように瞬きをして
会議室の扉をしぶしぶ開けた瞬間、俺は思い切り眉を顰めた
「・・部屋を間違えたか」
奥でにこにこと手を振るホークス、そしてその反対側でパソコン作業をしている塚内警部、システム導入の打合せにしては物騒すぎる顔触れに俺は首を傾げた
「合ってますよ、イレイザー」
どうぞどうぞ、客人とは思えぬ自然な調子でホークスが手招きをする
「・・お前、本当に暇なんだな」
「今日も容赦ないっすねぇ」
大事な案件だから来たんですよ、毎度保健室に長居するこの男、あいつへのちょっかいが日に日にエスカレートしているのは勿論認識している
「導入目前、新システムの確認に来ただけです」
「私も同じだよ、イレイザー」
警察側も雄英の安全対策には学ぶ事が多いからね、軽く頭を下げた塚内さんが穏やかに続けた
「・・そうですか」
理屈としてはどちらも間違っていない、
だったら何だ、この妙な空気は
担当者が淡々と説明を始め、システム稼働前の最終確認事項がスクリーンに映し出される
説明が進めば進むほど、この二人がわざわざ顔を出す理由が分からない
至って順調で、単調で、眠気を誘う会議だ
「稼働後の連携も、重要になりそうですね」
「ですね」
「何事に於いても、我々の連携は大事ですから」
「ええ」
ホークスが笑顔で見つめると、塚内さんが目を細めて深く頷く
お互い笑顔のまま視線だけがぶつかり合う異様な雰囲気に、俺は思い切り顔を顰めた
「・・あんたら、一体何なんだ」
「「はい?」」
そういやあいつ、塚内さんと食事とか何とか言ってたな、今頃になって思い当たったそれに俺は強く顳顬を押さえた