第16章 雄英文化祭編
「えっ、おもちもそう思った!?」
「ええ。私、今も胸がドキドキしているもの」
彼女は胸元にそっと手を当て、少し困ったように笑った。
「本当に綺麗な女性だったわね。立ち姿も、歩き方も、笑顔も。何気ない仕草ひとつひとつが洗練されていて……つい見惚れちゃった」
普段、どんな状況でも落ち着き払っている彼女が、まるで憧れの人に出会った少女のような顔をしている。
それが意外だったのか、切島は目を丸くした。
「へえ!おもちでも、ああいう人にドキドキするんだな!」
「もちろんよ。綺麗なものを見るのは好きだもの」
「いや、おもちも十分すぎるくらい綺麗だけどな!?」
上鳴が勢いよく口を挟む。
「そうだぜ!さっきの人もすごかったけど、おもちだって負けてねぇって!」
「ありがとう。でも、あの方はまた違った魅力があったわ。華やかで、余裕があって……そう、まるで本物のスーパーモデルみたいだった」
おもちは思い返すように目を細めた。
「それに、あんなに美しいのに、子どもたちに向ける表情はとても優しかったでしょう?赤ちゃんを抱き上げる手つきも自然で。きっと、素敵なお母さんなんでしょうね」
「うん!すっごく綺麗だった!」
エリも、待っていましたとばかりに会話へ加わった。
「髪の毛がキラキラしてて、お洋服もキラキラしてて!それに、赤ちゃんにお話しするとき、とっても優しいお顔をしてたの!」
「そうね。エリちゃんも、あの子のことが気に入ったのね」
「うん!あの赤ちゃんもすっごく可愛かった!おめめが青くて、きらきらしてたの!」
エリは両手を頬に添え、思い出すだけで嬉しくなるというように頬を染めた。
「それにね、それにね!あの男の子たち、爆豪お兄ちゃんにそっくりだった!」
「またそれかよ!」
爆豪がすかさず声を上げる。
「だって、本当だもん!」
エリは少しも怯まず、むしろ楽しそうに笑った。
「お顔もおめめもそっくり!三人とも爆豪お兄ちゃんみたいだったよ!」
「三人ともってのがすげぇよな……父ちゃんの遺伝子強すぎねぇか!?」
切島がしみじみと呟く。