第16章 雄英文化祭編
子どもたちを見送った後、彼らは、校舎内の廊下を歩いていた。
「……黙って俺の後ろ歩けや!」
爆豪が、さも当然といった顔で言い放った。
「えっ?でも、みんなも文化祭を楽しんでいたんじゃないの?」
おもちが首を傾げると、切島が明るく笑った。
「いやいや、いいんだって! おもちもエリちゃんも美人なんだから、さっきみたく絡まれても面倒だろ?」
「そうそう!俺たち、ちょうど暇だったし!」
上鳴も調子よく頷く。
「テメェはさっきまで屋台を回りたいだの、限定スイーツがどうだの騒いでただろうが」
「爆豪!そういう細かいことは言わなくていいんだよ!」
「事実だろうが!」
二人のやり取りに、切島が豪快に笑う。
おもちは思わず口元を押さえた。
「ふふっ。ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えようかしら」
「うん!みんなで回ろう!」
エリも嬉しそうに手を挙げた。
こうして、おもちとエリ、爆豪、上鳴、切島の五人で文化祭を回ることになった。
校舎の外へ出ると、賑やかな音楽と生徒たちの楽しそうな声が迎えてくれる。出店からは甘い匂いが漂い、あちこちで笑い声が弾けていた。
エリは目に映るものすべてが珍しいらしく、おもちの手を握りながら、あっちを見たり、こっちを見たりと忙しい。
「お姉ちゃん!あっち、綿あめがあるよ!」
「本当ね。あとで買いに行こうか」
「うん!」
そんな微笑ましいやり取りを眺めていた上鳴が、ふと思い出したように声を上げた。
「……いや、でもさ。さっきの人、マジですごくなかった?」
「分かる!あの人、絶対モデルだろ!?」
切島もすぐに食いついた。
「歩いてるだけで、なんかこう……オーラが違ったよな!服もアクセサリーもめちゃくちゃ似合ってたし!」
「そうそう!なんか雑誌からそのまま出てきたみたいな!」
上鳴が大げさに両手を広げた。
「なんか、全身から高級感が漂ってたっていうか!」
「ふふっ、分かるわ」
おもちが思わず同意すると、三人の視線が一斉に彼女へ向いた。