第16章 雄英文化祭編
もちろん、目の前にいるのは幼い子どもだ。髪の色も、顔立ちも、爆豪勝己によく似ているだけ。
そう考えようとした、その直後。
隣にいた双子の男の子たちも、くるりとこちらを振り返った。
「……え?」
今度こそ、おもちは固まった。
3人とも、やはり爆豪にそっくりだった。
目元も、眉も、髪の色も。三人それぞれに違いはあるものの、誰が見ても同じ血筋だと分かるほど、よく似ている。
しかも、三歳ほどの双子の片方は、こちらを見上げるなり、少しだけ眉間に皺を寄せた。
その表情まで、見覚えがありすぎた。
「……何だよ」
小さな声で呟く。
その口調まで、どこか爆豪を彷彿とさせた。
おもちは、思わず隣を見た。
エリもまた、目を丸くして三人を見つめている。
「……お姉ちゃん」
「……ええ」
「この子たち……」
「……うん」
二人して、しばらく言葉が出なかった。
そのとき、おもちの視線が、抱っこひもの中にいる赤ん坊へと移った。
ふっくらとした頬。艶やかな黒髪。そして、ぱっちりとした大きな青い瞳。
まだ赤ん坊だというのに、整った顔立ちがはっきりと分かる。
小さな鼻筋も、柔らかな唇も、どこか品のある顔立ちも。
そのすべてが、おもち自身によく似ていた。
青い瞳が、まっすぐに彼女を見つめる。
赤ん坊は何も知らない様子で、小さな手をもぞもぞと動かした。
「……まあ」
思わず、声が漏れる。
なんて可愛らしいのだろう。
こんなに小さいのに、すでに人目を引くほどの美しさを持っている。成長したら、きっと誰もが振り返るような美人になるに違いない。
それにしても。
男の子たちは爆豪そっくりで、赤ん坊は自分にそっくり。
偶然にしては、あまりにも出来すぎている。
「……あの」
おもちは、できるだけ自然な表情を取り戻し、五歳ほどの男の子に視線を合わせた。
「お母さんか、お父さんは一緒じゃないの?」
男の子は、ほんの一瞬だけ迷うような顔をした。
そして、胸元の赤ん坊を気遣うように手を添えながら、小さく答えた。
「……お母さんと、はぐれた」