• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第16章 雄英文化祭編


「練習、あんなに頑張ったじゃん!」

「わかってる。わかってるけど……!」

耳郎はぎゅっと目を閉じ、深呼吸を繰り返した。


ベースとボーカル。
みんなを引っ張っていく役目。

自分が提案したライブなのだから、最後までやり遂げたい。そう思って練習を重ねてきた。

それでも、いざ本番が目の前に迫ると、身体が思うように動かなくなりそうだった。


そんな耳郎の隣で。

「大丈夫よ、耳郎さん」

まるで散歩にでも出かけるかのような落ち着いた声がした。
振り向くと、おもちがいつもどおりの涼しい顔で立っていた。

衣装も乱れひとつなく、ギターを肩に掛けた姿は堂々としている。これから大勢の観客の前で歌うというのに、緊張の色はまるで見られなかった。


「……おもち、なんでそんなに平気なの?」


耳郎が半ば恨めしそうに尋ねる。


「どうして?」

「どうしてって……!もうすぐ本番だよ!?私、今にも心臓が口から飛び出しそうなんだけど!」

「ふふ。心臓が飛び出したら困るわね」

「そういう問題じゃないってば!」

耳郎が頭を抱える。
それを見たおもちは、少し考えるように首を傾げたあと、ふっと微笑んだ。


「じゃあ、緊張が吹き飛ぶおまじないをしてあげる」


「……え?」


耳郎が顔を上げた。


「おまじない?」


「ええ」


おもちはギターを背負い直すと、耳郎のほうへ向き直った。



そして、ゆっくりと顔を近づける。

「……え、ちょ、なになに!?」

突然の距離の近さに、耳郎の身体がぴたりと固まった。
青い瞳が、すぐ目の前にある。
整った顔立ち。柔らかな微笑み。ほのかに香る、彼女のジャスミンの香水がかすかに香る。

耳郎が状況を理解するよりも早く。


ちゅっ。
小さなリップ音が、舞台袖に響いた。
おもちの唇が、耳郎の頬に軽く触れたのだ。
/ 868ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp