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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第16章 雄英文化祭編


おもちは思わず笑いそうになった。

まさか、ここまで効くとは。
けれど、笑ってしまうのは少しもったいない。
彼が、どれほど真剣に自分を見ているのか。
その気持ちを、からかって終わらせたくはなかった。


だから、彼女は最後まで目を逸らさなかった。


爆豪もまた、赤くなった顔を隠そうとはしなかった。


数秒の沈黙。
やがて、彼はゆっくりと息を吐いた。

「……俺は本気だ」

低く、はっきりとした声だった。
先ほどの動揺を押し隠すように、彼は真剣な眼差しで彼女を見つめる。

「覚えとけ」

そう言い残し、爆豪は彼女から離れた。


今度こそ、逃げるように立ち去ることはしなかった。
背筋を伸ばし、彼女の目をまっすぐ見つめたまま、一歩、距離を取る。
おもちは、壁に背を預けたまま、去っていく彼の背中を見送った。


その耳が、まだ赤い。

「……ふふ」

誰もいない廊下に、小さな笑い声がこぼれた。
自分から距離を詰めておきながら、最後にはあんな顔をするなんて。

本当に、可愛い人。

けれど、笑みを浮かべた彼女の胸にも、いつもとは違う熱が残っていた。

爆豪の真剣な眼差し。

あの声。

そして、自分を男として見てほしいという、真っ直ぐな言葉。

――あんなふうに、正面から求められたのは、いつ以来だろう。


彼女はそっと、自分の頬に触れた。
先ほど爆豪の指先が触れていた場所。
その感触を思い出し、わずかに目を伏せる。


「……困ったなぁ」


そう呟いた声には、いつもの大人びた余裕が戻っていた。
けれど、口元に浮かぶ笑みは、いつもより少しだけ甘かった。


そして、部屋の扉を開ける直前。

彼女はもう一度だけ、爆豪が去っていった廊下を振り返った。

「……勝己くん、か」

自分で口にした名前を、そっと確かめるように呟く。

その響きが、思いのほか気に入ってしまったことは。
今はまだ、誰にも知られない秘密だった。
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