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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第16章 雄英文化祭編


おもちは胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。

最初は、他の科の生徒たちを楽しませることに抵抗を示していた爆豪。

けれど、彼は結局、誰よりも本気で文化祭に向き合おうとしている。

ただ楽しませるだけではない。

自分たちが何を経験し、何を乗り越えてきたのか。
そして、どれほど傷ついても、ここで前を向いているのだということを、音で伝えようとしているのだ。


彼らしい、不器用な表現だった。


「ふふ……」


おもちが笑みをこぼすと、隣にいた八百万が嬉しそうに頷いた。


「爆豪さん、あのようにおっしゃっていますが、きっと誰よりも真剣に取り組んでくださるのでしょうね」


「ええ。そういう人だと思うわ」


おもちは、ドラムの前で耳郎と曲の相談を始めた爆豪を見つめた。

「一度やると決めたら、妥協はしないでしょうから」

その声には、確かな信頼が込められていた。
爆豪はふと視線を感じたのか、顔を上げた。

目が合う。

おもちは、彼に向かって柔らかく微笑んだ。
爆豪は一瞬だけ動きを止めたあと、すぐに顔を背けた。

「……おい、耳。曲の候補出せ。テンポ遅ぇのは却下だ」

「耳じゃなくて耳郎!…じゃあ、まずは曲調から決めようか」

「ドラムが映えるやつにしろ」

「注文が多いなぁ!」

再び始まる、賑やかな話し合い。

クラスメイトたちは次々にアイデアを出し、文化祭に向けて熱を帯びていく。


その輪の中にいるおもちは、ふと気づいた。
自分は今、公安の人間として状況を分析しているのではない。
誰かの嘘を見抜こうとしているのでも、敵の動きを警戒しているのでもない。


ただ、クラスメイトたちと一緒に、ひとつのものを作り上げようとしている。


それが、こんなにも楽しい。

「……私も、できることを考えなくちゃね」

小さく呟いた言葉は、賑やかな声に紛れて消えていった。
文化祭まで、あと少し。


雄英高校の生徒たちが、音楽に乗せて何を伝えるのか。

そして、その中心でドラムを叩く爆豪勝己が、誰よりも熱くステージを盛り上げることになるのを、このときの彼らはまだ知らなかった。
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