第16章 雄英文化祭編
補習組が寮に戻ってきたのは、夕食の時間が近づいた頃だった。
「ただいまー!いやぁ、今日も疲れた……」
切島が肩を回しながら共有スペースに入ってくる。その後ろから、緑谷、麗日、蛙吹も続いた。
「おかえり!ちょうどいいところに戻ってきたね!」
上鳴が待ってましたとばかりに声を上げる。
「文化祭の話し合い、決まったの?」
麗日が不思議そうに首を傾げると、芦戸が勢いよく説明を始めた。
「文化祭のライブ、ドラムは爆豪に決まったんだよ!」
「ええっ!?爆豪くんが!?」
緑谷は目を丸くして爆豪を見た。
当の本人はというと、ドラムセットの近くで腕を組み、いかにも不機嫌そうな顔をしている。
「……なんだ、その顔は」
「いや、だってかっちゃんがドラムって、すごく意外で……」
「文句あんのか、デク」
「ないよ!!」
緑谷が慌てて首を振ると、上鳴が笑った。
「いやー、マジですげぇんだぜ!さっきの演奏、プロみてぇだったんだからよ!」
「へぇー!爆豪くん、そんな特技があったんだ!」
麗日が感心したように声を上げる。
「昔、音楽教室に通ってたらしいよ」
耳郎が説明すると、緑谷は納得したように頷いた。
「それより、まだ決まってないことがあるんだよ!」
「まだ何かあるの?」
「ボーカル!」
その言葉に、共有スペースにいた面々が一斉に頷いた。
「そうそう!誰が歌うか、まだ決まってないんだよね」
耳郎はタブレットを手に、楽曲の候補を確認していた。
「私がギターを弾きながら歌うこともできるけど、せっかくライブをやるなら、ボーカルは別にいた方が演奏に集中できるし……」
「はいはいはいっ!!」
真っ先に手を挙げたのは峰田だった。
「ここは当然、俺だろ!!歌って踊れる男、峰田実!!文化祭に集まる女子たちのハートを、俺の美声で――」
峰田がデスボイスを室内に響き渡らせる。
その横から、切島が勢いよく手を挙げた。
「じゃあ、俺も立候補するぜ!こういうのは気合いが大事だろ!」
「切島くん、歌えるの?」
緑谷が尋ねると、切島は一瞬だけ言葉に詰まった。
「……男なら気合いで何とかなる!」
そう言って、暑苦しい曲を歌い始める。
「暑いよ!暑苦しいよ!!」と麗日がツッコミを入れる。