第14章 気付き始めた恋心
「……そんな、こと……」
否定しようとした。
いつものように、落ち着いた笑顔で受け流そうとした。
けれど、言葉が、続かなかった。
自分でも驚くほど、すぐには答えが出てこなかったのだ。
「……あら?」
蛙吹が、わずかに目を細める。
「今、否定しなかったわね」
「……!」
「えっ、ちょっと待って! 本当に!?」
麗日が身を乗り出す。
「おもちちゃん、爆豪くんのこと……!?」
「ち、違うわ。私はただ……」
彼女は言葉を探した。
けれど、何を言えばいいのかわからない。
ただ、あのときの爆豪の表情が、頭から離れなかった。
いつもなら、どんな相手にも遠慮なく怒鳴り散らす彼が。
自分に手を引かれ、口元に指を当てられた瞬間、何も言えなくなっていた。
そのことが、どうしようもなく気になってしまう。
そして、気づいてしまった。
彼のことを思い出すとき、自分はいつも、ほんの少しだけ彼の表情を気にしていたのだと。
怒っているのか。
呆れているのか。
それとも、別の何かなのか。
彼の目が自分を捉えるたび、無意識にその意味を探していたのかもしれない。
「…………」
彼女は、頬に手を添えた。
ほんのわずかに、熱い。
「……困ったわね」
ぽつりと、こぼす。
「えっ、何が!?」
芦戸が食いついた。
彼女は顔を上げ、困ったように微笑んだ。
「自分の気持ちが、よくわからなくなってしまったの」
その言葉に、女子たちは一斉に息を呑んだ。
そして次の瞬間。
「「「きゃああああああっ!!」」」
部屋中に、歓声が響き渡った。
どうやら今夜の女子会は、まだまだ終わりそうになかった。