第14章 気付き始めた恋心
「ふふ。構わないわ」
彼女はおかしそうに笑った。
「好きに使ってちょうだい」
「やったーっ!」
その瞬間だった。
「じゃじゃーん!!」
葉隠が、後ろ手に隠していた大きな袋を勢いよく持ち上げた。
「そう言ってくれると思って、お菓子、いっぱい持ってきたよー!!」
「飲み物もあるで!」
麗日が別の袋を掲げる。
「お菓子だけじゃなくて、明日の朝ごはんにも困らないくらい買っちゃった!」
「芦戸さんが張り切ってしまって……」
八百万が苦笑しながら補足した。
「えー! だって、こういうのは準備から楽しいじゃん!」
耳郎も袋の中身を覗き込みながら、楽しそうに笑っている。
彼女は一瞬、目を見開いた。
そして、とうとう堪えきれずに笑い声を漏らした。
「ふふっ……。みんな、準備がいいのね」
「でしょー?」
「じゃ、さっそく始めよ!」
賑やかな声とともに、女子たちは次々と部屋へ入っていった。
***
白と淡いピンクを基調にした、彼女の部屋。
ふかふかのクッションが並ぶベッドに、柔らかな照明。整然と片づけられた室内には、ほのかに甘い香水の香りが漂っていた。
「うわぁ……! やっぱりかわいい!!」
芦戸が部屋を見回し、感嘆の声を上げた。
「本当に素敵なお部屋ね。色合いも統一されていて、落ち着くわ」
八百万も感心したように頷く。
「このクッション、ふわふわだね!」
麗日がソファ代わりのクッションに腰を下ろすと、葉隠も隣に座った。
「わかる! ずっとここにいたい!」
「落ち着くわね。まるで、おもちちゃんの雰囲気そのものみたい」
蛙吹がそう言うと、彼女は小さく首を傾げた。
「私の雰囲気?」
「ええ。大人っぽくて、落ち着いていて、でも、かわいらしいところもあるもの」
「……ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいわ」
彼女は微笑みながら、みんなのためにクッションを並べ直した。
その仕草すらどこか優雅で、耳郎は思わず目を細めた。
――こういうところなんだよなぁ。
普段は誰よりも落ち着いていて、何を考えているのかわからないこともある。
なのに、こうして一緒に過ごすと、自然に周りを気遣ってくれる。
その距離感が、妙に心地よかった。