第14章 気付き始めた恋心
コンコン。
静かな部屋に、控えめなノックの音が響いた。
「……はい?」
公安委員長との電話を終え、今後の任務について考え込んでいたおもちは、顔を上げた。
こんな時間に誰だろう。
椅子から立ち上がり、ドアを開ける。
すると。
「おもちちゃーん!!」
「こんばんは!」
「お邪魔してもいい?」
扉の向こうには、A組の女子たちが勢揃いしていた。
麗日、芦戸、八百万、耳郎、葉隠、蛙吹。それぞれが楽しそうな笑顔を浮かべている。
「……皆して、どうしたの?」
突然の訪問に目を瞬かせる彼女に、麗日が一歩前へ出た。
「えっと、今日、仮免合格したお祝いに……女子同士でパジャマ女子会せえへん?」
「女子会?」
「そうそう! せっかくだし、みんなでお祝いしたいじゃん!」
芦戸が両手を合わせ、期待に満ちた目を向けてくる。
彼女は少し考えたあと、廊下の時計に目を遣った。
午後八時。
明日は土曜日。学校も休みだ。
つい先ほどまで、公安から新たな任務を言い渡されていたところだった。これから先、また忙しい日々が続くのだろう。
――少しくらい、羽目を外してもいいか。
そう思うと、自然と頬が緩んだ。
「誘ってくれてありがとう。混ぜてもらおうかな」
ふわりと微笑む。
「「「やったぁー!!」」」
女子たちの歓声が、廊下に響いた。
「それで、どこでやるの?」
彼女が尋ねると、なぜか全員が顔を見合わせた。
「え、っとね……」
「実はさ……」
芦戸と麗日が、どこかそわそわしながら彼女の顔を覗き込む。
「……おもちちゃんのお部屋でやってもいいかな?」
「私の部屋?」
「うん! 女子七人で集まるなら、おもちちゃんのお部屋が一番広いし!」
「それに、すっごくかわいいんだもん! 前にちょっと見せてもらったときから、みんなで女子会するならここがいいなって思ってて!」
二人の瞳は、期待にきらきらと輝いていた。
背後では、八百万が少し申し訳なさそうに微笑み、耳郎が「まあ、そういうこと」と肩をすくめている。
蛙吹はいつもどおりの落ち着いた様子で、葉隠は両手を胸の前で握りしめていた。
どうやら、最初からそのつもりだったらしい。