【WINDBREAKER】風鈴高校の紅一点🎐𓂃𓈒𓂂
第2章 獅子頭連編
十亀「……続きをやろうか」
桜「ああ、上等だ。とことんやってやるよ。」
十亀「…そうだ。ちゃん。」
「は、はいっ!」
十亀「俺の名前、もう覚えたぁ?」
「はい。十亀さん……ですよね。」
十亀「うん、そうだよ。十亀条。」
桜「おい、よそ見してんな。こっちに集中しろ。」
十亀「いいなぁ、風鈴は。あんな風に、まっすぐ心配してくれる子がいてさ。」
「……十亀さん…」
十亀「あの子がそばにいてくれたら。俺達も、何かが少しは変わってたのかもねぇ……」
佐狐があの子を追いかけて戻ってきた後、どこか憑き物が落ちたような穏やかな顔をしていた。あいつが、あんな優しい目をできるようになるなんてな。
丁子が獅子頭連の頭取になったあの時。
俺はただ、ああするしか道がなかったんだ。
あの頃、ぐちゃぐちゃに荒んでしまった俺の心を、彼女の様な温かい存在がそばにいてくれたら、今こうなってなかったんじゃないかと思ってしまう。どうしていいのか迷い続けていたあの暗い時期。彼女なら正しい答えへと導いてくれたんじゃないかって。
そんな、もう戻らない過去の「もしも」を、ふと考えてしまう。
いまも、獅子頭連の上着を纏っている彼女の姿を見ていると、胸の奥が締め付けられるような虚しさと同時に――。
十亀「…………やっぱり、欲しくなっちゃうよねぇ。」
あの温もりを、あの真っ直ぐな瞳を、もっと近くで知りたい。
彼女のことをもっともっと知りたいと、そんな感情が芽生えてしまった自分がいた。