第5章 俺の守りたいもの…②
「……もう、我慢できねぇ」
斗和は立ち上がった。
自分の鎹鴉に実弥の行方を探させる。
しばらくして――
「見つけた!」
斗和は瓦礫の残る街を駆けた。
やがて、任務帰りらしい実弥の姿が見える。
「実弥――!」
「……斗和?」
振り返った瞬間。
斗和は勢いのまま実弥へ飛びついた。
「お、おい――」
ぎゅっ。
身体を包み込むように抱きしめ、そのまま顔を上げる。
「ただいま」
そして、唇を重ねた。
「……!」
一瞬、実弥の身体が固まる。
だが――
「……っ、テメェ……!」
次の瞬間、実弥の腕が斗和の身体を強く引き寄せた。
「……遅ェんだよォ」
噛みつくような勢いで唇を重ねる。
「ん……っ」
離れたと思えば、また抱き寄せられる。
まるで今まで我慢していた分を取り戻すように。
斗和も実弥の羽織を掴み、離れない。
「……寂しかった?」
「うるせェ」
「煙管まで使ってたんだって?」
「……伊黒ォ」
「ふふっ」
斗和が笑うと、実弥はさらに強く抱きしめた。
「笑ってんじゃねェ。……テメェがいねぇ間、ずっと足りなかったんだよ」
「何が?」
「……全部だァ」
その言葉に、斗和の胸が熱くなる。
「私も」
「……あァ」
実弥は斗和の髪に顔を埋める。
「もう勝手に遠く行くんじゃねェぞ」
「任務だから仕方ないだろ」
「分かってる。だから余計にムカつくんだよォ」
「ふふ……ただいま、実弥」
「あァ。……おかえり、斗和」
二人はしばらく、互いの存在を確かめるように強く抱きしめ合っていた。