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破天荒アラフォーいざ参る!【不死川実弥夢】

第4章 俺の守りたいもの…




夜更け。

は自室で一枚の紙を広げた。

普通に書けば、こうなる。

『蕨姫花魁は鬼。善逸は行方不明。すぐに宇髄さんへ伝えて』

――だが、それは駄目だ。

誰かに見つかれば、潜入していることが一瞬で露見する。

「……さて」

斗和は筆を取り直した。

紙には、まるで店の酒の注文を書いたような文が並ぶ。

『上物、一つ。
夜更けに一つ。
二階より異臭あり。
客ではない者の出入りに注意。
品は見た目以上に危険。
例の子は見当たらず。』

一見すれば、酒や商品の覚え書きにしか見えない。

だが、斗和と宇髄だけが分かるように、文章の頭文字を拾うと別の意味になる。

さらに斗和は、紙の端に小さな印を三つ描いた。

――二階。
――女。
――危険。

最後に、紙を細く折る。

「これなら、仮に見つかってもただの店の覚え書きだ」

斗和は満足げに頷いた。

だが、もう一つ問題がある。

鎹鴉に渡すところを見られてはいけない。

斗和は紙を酒瓶の注文札に紛れ込ませ、店の裏口へ向かった。

「……頼むよ」

屋根の上で待っていた鎹鴉へ、注文札ごとそっと投げる。

「カァ!」

鴉が咥えて飛び去る。

斗和はすぐに振り返った。

「……よし」

その瞬間。

「何してるの?」

背後から声。

斗和の心臓が跳ねる。

蕨姫花魁だった。

「注文札を落としちゃって。拾っていただけです」

斗和は笑顔で答える。

堕姫はじっと斗和を見つめた。

「……そう」

「はい」

しばらくして、堕姫は興味を失ったように踵を返す。

斗和は笑顔を保ったまま、胸の内で息を吐いた。

(危なかった……)

そして屋根の向こうへ消えていく鎹鴉を見送る。

(宇髄さん。頼んだよ)

その伝言には――

『蕨姫花魁は鬼』

という本当の意味が、確かに隠されていた。
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