第4章 俺の守りたいもの…
斗和は実弥の胸元に顔を埋めたまま、いつの間にか眠っていた。
「……すぅ……」
泣き疲れたのだろう。
実弥はしばらく、その寝顔を見つめていた。
「……ったく」
乱れた髪をそっと直す。
そして、小さく呟いた。
「……俺ァ、お前が好きだ」
返事はない。
「……好きだ。死ぬほど心配になるくらいなァ」
斗和は穏やかな寝息を立てている。
「だから……勝手に死ぬんじゃねェぞ」
その時。
「カァーッ!」
頭上から声が落ちてきた。
「実弥! 今、好きと言ったな!」
「……は?」
実弥が勢いよく顔を上げる。
斗和の鎹鴉が、梁の上でニヤニヤ……ではなく、鳥なのに明らかに楽しそうに羽を揺らしていた。
「聞いたぞ! 斗和に好きと言ったな!」
「テメェ……」
「これは重大案件だ! 斗和に報告――」
「黙れェ!!」
「カァッ! 照れている!」
「うるせェ!」
「斗和は知らないぞ! 今なら教え――」
実弥が刀に手を伸ばす。
「テメェ、黙らねェと焼き鳥にすんぞ」
「脅迫だ!」
「脅迫じゃねェ。忠告だァ!」
「何の騒ぎ……?」
「「……!」」
斗和が目を擦りながら身体を起こした。
「……実弥?」
「な、何でもねェ!」
実弥が妙に勢いよく答える。
「カラスと喧嘩してたの?」
「違ェ!」
「じゃあ何?」
「……テメェが寝言で変なこと言ってたんだァ!」
「え、あたし?」
「そうだァ!」
鎹鴉が嘴を開く。
「実弥が――」
「カァーッ!!」
実弥が素早く鴉を掴んだ。
「寝ろ、斗和。まだ寝ぼけてんだろォ」
「……変なの」
斗和は首を傾げながら、再び横になる。
その背後で。
「……あとで覚えてろよ」
「カァ……」
実弥と鎹鴉の睨み合いが続いていた。