第9章 ついに……
夜の道を駆け抜け、斗和と実弥が産屋敷家へ飛び込む。
「……っ!」
目の前に広がっていたのは、崩れた屋敷と立ち込める黒煙。
そして、その中央に――鬼舞辻無惨が立っていた。
「……鬼舞辻……無惨……」
斗和が息を呑む。
「テメェが……鬼舞辻無惨かァ!」
実弥が刀を抜く。
その声を合図に、周囲にいた柱たちと隊士たちも一斉に刀を構えた。
無惨が冷たい視線を向ける。
「無駄なことを……」
「――今だァ!!」
誰かの叫びが響いた瞬間。
「「「うおおおおおッ!!!」」」
全員が一斉に地面を蹴った。
四方八方から迫る無数の刃。
実弥の風が唸り、斗和の酒の呼吸が夜気を切り裂く。
「酒の呼吸――!」
「風の呼吸――!」
さらに左右から柱たちの斬撃が重なり、後方から隊士たちが一斉に追撃を叩き込む。
上から、横から、正面から――。
逃げ場を完全に塞ぐように、無数の刀が無惨へ殺到する。
「――斬れェェェッ!!」
ザンッ!!
ズバァッ!!
ギィィィンッ!!
一瞬のうちに、無惨の身体へ全員の斬撃が集中した。
「ぐ……ッ!」
無惨の表情が初めて歪む。
斗和はその隙を逃さなかった。
「実弥!!」
「あァ!!」
二人は互いに視線を交わす。
「合わせるよ!」
「任せろォ!」
実弥の風と斗和の酒の呼吸が同時に炸裂する。
「「――斬り込めェッ!!」」
二人の刃が、無惨へ一直線に迫った。
その瞬間、戦場を覆うほどの斬撃が再び一斉に重なった。