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破天荒アラフォーいざ参る!【不死川実弥夢】

第1章 始まり




実弥が作った粥を前に、斗和は目を丸くした。

「……本当に作ってくれたんだ」

「食わねェなら捨てるぞォ」

「食べる食べる!」

匙を口に運ぶと、胃に優しい温かさが広がる。

「……美味しい」

「そうかよ」

実弥はそれだけ言って、向かいに座った。

「で、今日はどうする気だァ?」

「任務」

「その身体で?」

「大丈夫だって」

「大丈夫な奴は朝っぱらからそんな顔してねェ」

「……顔?」

「死にそうな顔だァ」

斗和は苦笑する。

「カナエさんのこと、まだ引きずってるからかな」

その名前が出た瞬間、実弥の表情が僅かに曇った。

「……無理に忘れる必要なんざねェだろ」

「実弥は?」

「俺かァ?」

「あの人のこと……」

少しの沈黙。

「忘れるわけねェだろォ。大切な仲間だったんだからな」

やっぱり――そうなんだ。

胸の奥が、ずきりと痛む。

斗和は笑って誤魔化した。

「そっか」

「……何だァ、その顔」

「別に」

「別にじゃねェだろォ」

実弥が眉を寄せる。

「お前、最近変だぞ」

「そう?」

「あァ。前より無茶するし、酒も増えた。俺から逃げるしなァ」

「逃げてないって」

「じゃあ、こっち見ろォ」

反射的に顔を上げる。

目が合った。

――近い。

斗和の心臓が跳ねる。

「……何でそんな顔すんだァ?」

「ど、どんな顔よ」

「知らねェよォ。ただ……」

実弥は少しだけ視線を逸らした。

「お前が妙に沈んでんのは、気に食わねェ」

その言葉に、斗和は息を呑む。

「……実弥」

「何だァ」

「私、ちゃんと元気になるから」

「あァ?」

「だから……もう少しだけ、隣にいてもいい?」

実弥は一瞬黙った。

そして、ぶっきらぼうに答える。

「……勝手にしろォ」

その一言だけで、胸がいっぱいになった。

斗和は知らない。

実弥がなぜ、自分の様子ばかり気にしているのか。

そして実弥自身もまだ知らない。

なぜ斗和が他の誰かより気になって仕方がないのかを。
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