第33章 指輪の存在
受け取ってから二ヶ月以上、外箱から出すことも、蓋をあけて中を見ることも、指輪を手に取ることもできず、ただ一人で外箱を眺めていただけの結婚指輪。
このまま目を覚まさないかもしれない。
そんな不安が毎日のように私を襲った。
せっかく手に入れた幸せを、やっと一緒になれた零を、もう、失ってしまったと思った。
諦めていないつもりだったけれど、何度も何度も、零との幸せな時間を思い出しては、
たった数ヶ月間のその思い出のみで、私の一生分の幸せとして大切にしようと自分に言い聞かせてきた。
プロポーズの日のことも、一緒に見た夜空のことも、温泉や海に行ったことも、大切に思い出しては、大きな愛で包んでくれて心から幸せだったと、零に感謝して毎日を過ごした。
もはや、亡くなった人に思いを馳せているようなものだった。
赤井さんから『まるでもう死んだかのような口ぶりだな』と言われたのは、まさにその通りだった……
「……、──……?、…?」
「えっ、え?」
考え込みすぎてしまっていたようで、呼ばれていたことに気付かなかった。
パッと意識を向けると、零が心配そうに私を見ていた。