第33章 指輪の存在
退院してから数日経ち、零が思い出したかのようにきいた。
「そういえば指輪はどうなった? たしか受け取ってきてくれると言っていたが…」
「あ…!そうだったね。受け取ってるよ。」
キャビネットの見えない場所にしまい込んでいた指輪を取り出した。
いつまでも目を覚まさない零に指輪を渡すことができず、見えるところに置いてあるのが辛くて隠したんだった。
いっそのこと、この指輪の存在を忘れようと必死だった。
だから零に言われるまで、思い出すことさえなかった。
零はもう目を覚ましているのに、あのときのやるせない気持ちが蘇ると今でも胸が苦しくて、指輪の箱をじっと見た。
その顔は、きっと幸せとは言えない表情だったのだろう。
「……どうした?」
「なんでもない。やっとだね。早くあけたい」
「ん、貸して。」
指輪が入った箱を零に渡すと、外箱からケースを取り出し、パカッと蓋をあけて小さい方の指輪を手に取り、それを見つめていた。