第31章 取り調べ(1)
「ほぉー?あきらめたような顔をしていたか、そう思わせる口ぶりがあって、付け入る隙があると思われたんじゃないのか。」
「ひぇぇっ…!まさか!待ってこわいよ!なかなか目が覚めなくて心配で辛かったから、落ち込んだ顔にはなってたと思うけど!!」
「……悪い。そうだな、当然だ。なかなか目覚めなかった僕が悪い。」
「いい夢みてたもんね?」
「ん、まぁ。最高だったな。」
「まだ覚えてる?」
「起きたばかりのときのように詳しくは思い出せないが、子どもの顔は思い出せるよ。なんとなくに似てるから。
まずいな、思い出すと会いたくてたまらなくなる。
夢なのに、子どもとからは甘いミルクの香りや柔らかい感触があった。」
「へー…私に似てるのかぁ…甘いミルクと柔らかい感触、ねぇ…」
「嫌なのか?言っておくがかなり可愛いからな。覚悟しないと何度もやられる。」
「ふふっ。何にやられるの?」
「可愛すぎて悶えるレベルってこと。」
「わぁ!零が私みたいになってる!零はパパになるとそうなるの!?」
「……たしかにデレデレだった自覚はある。」
「なんか…何でだろう。
昨日も思ったけど、この話、ちょっともやもやする。」
「はははっ。妬いてるだろ?」
「くっ…!やっぱりこれはやきもち…!
夢に妬くなんて悔しい!」
「は記憶喪失のときも、前の自分に妬いてたからな。」
「えぇぇ!?噓でしょ!?自分に妬いたの!?」
「あぁ。そこは覚えてないのか?」
「覚えてない…。」
「今回もあのときと同じで、自分には身に覚えのない自分を相手に、僕が幸せそうに話すのが嫌なんだろ?僕はの話をしているのに。」
零は嬉しそうにクスクス笑っている。
「私の記憶にはないし、何となく自分じゃない人と幸せになってる気がしちゃう。」
「いままでの数少ないやきもちの中で、たぶん自分へのやきもちが一番はっきりと妬いてるのがわかるよ。」
ありがたいことに話題が自然と赤井さんのことから零の夢の話、そして私のやきもちへと流れていき、赤井さんの話からフェードアウトした。
ふぅ、よかった。話題が終わってくれて。
まぁ…私ははっきりと断ったから……。