第30章 待ち人
「あ…、ちょっと一時的にみんなの記憶がなくなってしまったんです。でも日本に戻ってすぐに思い出せたので大丈夫でしたよ。」
「そうか…。情報を正確に掴めなかったのは悪かった。」
「ふふっ。いいのに。じゃあ、こちらこそ、赤井さんやFBIのみなさんが頑張ってくれたおかげで軽症だったのかも知れません。ありがとうございました。」
「記憶のない君に会いたかったよ。」
「え?記憶は無くても、そのときの性格は私のままだったって聞いてますから、何も面白いものは見られませんよ?」
「安室くんを覚えていない君なら、俺にもチャンスがあったかもしれないからな。」
「ちょ…!またそんなこと言って!からかうのは本当にやめてください…!!」
「本心だが、このタイミングで口説くのはさすがにズルいな。」
「あ…えっと…」
「三ヶ月。目を覚まさなければ、それ以降は本気でいかせてもらうとしようか。長々と呑気に寝ている彼が悪いからな。」
「それは…!あの、困ります…。結婚もしているので…」
「寝ている相手と、か?」
「今は、寝ていますが…」
「目を覚ます可能性にかけて、何年も何十年でも待つのか?君はそれで、幸せか?」
「……そんな、縁起でもないこと…、さっきは赤井さんが『もうあきらめてるのか』って言ってたのに…」
「君があきらめたのなら、俺はあきらめるのをやめようと思ってな。」
「あきらめたり、していません…っ。」
「そうか。君があきらめないなら、俺はもうしばらく待機か。まぁ、それでも三ヶ月経てば、あきらめさせる。そのつもりでいてくれ。」
「……!!」