第27章 遡る ※
その日の仕事を急いで終わらせ、早めに帰宅した。
そっと寝室のドアを開けると、あきらかに今起きたばかりであろうと目があった。
あのあと、また寝ていたようだな。
「あれ…零、なんで。」
安室の部屋に泊まるように言ったのに、ここへ帰ってきたから驚いているんだろう。何が、『なんで』だ。
の気遣いが、僕にとっては拒絶や疎外感を覚えることがあり、時々無性に腹が立つ。
にそんなつもりが全くないことは分かっているのに。
「起きて大丈夫か?顔色…悪いな。」
ベッドに腰掛けて、の頬や首を触る。
いつもより少し温かい。
「うん。せめてお水だけでも飲もうと思って…。それより、こっちにいるとうつるかも知れないから…──」
「僕の心配はしなくていい。朝からずっと寝てたのか?」
僕は今日もまたこのセリフを吐くのか。
もっと頼って、甘えて欲しい……。
の重みを感じたい。
「うん、でもまだ眠いからお水飲んだらもう一回寝るね。」
「……何か食べれそうか?お粥だけでも。」
「ごめん、ちょっと無理そう。風邪薬だけのんでおこうかな…。」
おい何言ってる…?
風邪とは限らないだろ。
つわりで眠い可能性もあるのに適当に薬なんか飲もうとするな。
「いや…、薬は病院で調べてからの方がいい。車で送るよ。」
しっかりしているようでそうでもなく、放っておくのが怖い。
「大丈夫。眠気と微熱で怠いだけだし、寝たら治ると思う。」
病院へ行くのは断られてしまい、
水を飲ませるともう一度寝ると言う。
また眠るのかと思ったら、今度はトイレにこもった。
心配で様子を見に行くと、何も出ないのに吐き気がひどいと言い、震えながら泣いていた。
強い眠気に、怠さに、吐き気、症状がつわりじゃないか。少しは疑ってくれ。
「、もう病院に行こう。」
動けないようで首を振るが、
着替えさせて抱えて車に乗せた。
「ごめんね…食あたりか急性胃炎かな……」
この期に及んで食あたりを疑ってる。
今朝から何も食べてないのに、水にでもあたるのか?まったく。
いつになったら妊娠かも知れないと思うんだよ。