第22章 幸せな日々
「……悪い。こんなことで怒鳴るなんて、どうかしてる。頭を冷やしてくる。」
駄目…──!
このまま、任務に行かせたら駄目。
零の身に何があるかわからないのに、こんな状態のままで離れるのは絶対に駄目!
咄嗟に零の腕を掴んだ。
「零っ!い、かないで……話を、きいてほしい…!」
声が震えていた。
「……すまないが、冷静じゃないんだ。明日、帰ったら聞くよ。」
「お願い…行かないで……!
いま、零と話がしたい!
でも、なのに、何を伝えたらいいのか最適解が、わからない…──
何を言えば、零の気持ちは安らぐのか、そこまでの道筋が、何一つ見えないの………
だから、何も上手く言えないけど、零に謝りたい……っ!」
「…………逆に、いつもなら最適解への道筋がには見えてるのか?」
零がクスッと笑い、ピリピリとした空気が和らいだ。
「……元から見えてないのかな?」
「さぁ。僕にはの頭の中はわからないけど、今が見えないと感じてるなら、いつもは見えてるんじゃないか?くくっ。」
「それは…、やばいね。勘違いも甚だしい。ふふっ。」
「通りでいつも、いつの間にかの言いなりになってるはずだな。」
「それは単なる惚れた弱みだよ。
こんなにも完璧な零が、私にはダメダメになっちゃうなんて、すごく優越感。」
「…怖がらせて、悪かった。」
「私も、意地になってた。ごめんね…。」
「いや…誰だって踏み込まれたくない過去の一つや二つあってもおかしくないのに、無理矢理聞き出そうとした僕が悪い。」
「ううん、別に踏み込まれたくない過去とかじゃない。ほんとに零の言う通り、当時の恋人のことをペラペラ喋るなんて不誠実なように感じて…、それで言いにくいだけ。
大切にしまってる思い出とかもないよ。
聞いても拍子抜けするほど何もないけど、きく?」
「……教えてほしい。」
「21歳のころに、同じ大学の先輩と付き合ってた。
その人と京都へ旅行したことがある。
今日梓さんに勧めた観光プランは、そのときの一部を含んだ内容で、ぜんぶが同じというわけじゃない。
あとは、何が知りたい?」