第22章 幸せな日々
「ははっ!興味本位?違うな。
のその反応は、僕が過去に嫉妬して嫌な思いをすることを心配してるんじゃない。当時の恋人のことを気遣っているだけだ。
恋人関係だった二人のことを、別れたあとでも第三者に口外することは相手に対して不誠実だと感じて抵抗があるからだろ。違うか?
僕のことだけを案じたなら、このあいだのように“不機嫌は無し”と約束したうえで過去を話したはずじゃないのか。
だが、今日はどうだ?
何が何でも言おうとしない。
今日は相手を特定された話だから言いたくないんだろ。
これだけ僕が教えてと頼んでも、「意味がない」「やめて」「お願い」と繰り返す。
これはどう考えても、気遣われてるのは僕じゃない。昔の恋人だ。
は、今よりも過去の相手を思い遣ってるのか!?
こうやって、の中に大切にしまわれた昔の恋人との思い出に!
僕には未来をあげるから!過去には踏み込むなと拒絶されていることが!!!
何よりも…腹が、立つよ……!」
「……!」
なんで……どう、しよう…──
零が、こんなに感情的に声を荒らげるなんて……
何を言えばいいのか、わからない……
本当に、零の言う通りだ。
これじゃあ、零が嫉妬しないように気遣うことを建前に、昔の恋人の体面を守っているようなものだ。
零にとっては拒絶されたと感じることも、思いつきもしなかった。
自分だけの過去なら、いくらでも話せたのに…──
謝ればいいの?
昔の恋人を庇ったみたいになってごめんって?
誤解だよって?
それで過去を話せばいいの?
違うよね。
これは、そんな話じゃない…──
そもそも零は、過去を知りたがるふりをして、私が守っているものが何かを探ろうとしただけのようにも思える…………
何を言えば、零は安心してくれるの…──?
最適解がなにも見えないよ…………
涙がツーーっと頬を伝った。
泣くつもりはなかったのに。
零を、安心させたいのに。
手が、身体が、震える…───