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ずっと前から (降谷零/R18)

第16章 挨拶へ





父「降谷くん、娘を……宜しく頼むよ。」



父の、いつもと違う切なそうな声に驚いて、パッと顔をあげてみると、見たことのない表情をしていた。

微笑んでいるし、嬉しそうなのに、悲しそう……?

あの自由奔放な父がこんな顔、する?



「……お父さん……?」



まずい。これは……泣きそう。
くっ…、いくらなんでも結婚の挨拶では泣きたくない!
その表情はやめろっ!反則!
雰囲気重視で和室になんか通すから!!


零「ありがとうございます。
責任を持って、必ず、さんを幸せにします。」


力強い、決意のこもった言葉だった。




母「ふふっ。なんでが泣くのよ。」


その言葉に零が驚いて、パッと私の方を見た。

分かってるよ。“何で泣いてる!?”って感じだよね。
私も同じくそう思ってるよ…!!



「くっ…、お父さんが顔芸で泣かせてくるからっ!」

父「おいおい。人の顔を芸とか言うな。まったく、口の減らない娘で困るよ。」

母「ふふ。末っ子というのはずっと幼いと思ってしまって、いざ嫁ぐとなると、物悲しさを感じてしまうわね。
親子であることはずっと変わらないのに、これで本当に子育てが終わってしまったのね、って。」

父「あぁ、本当に、その通りだな。」


そっか……両親にとっては、ついに娘二人の子育てが終わったことになるんだ…。
それは、考えてなかったな。
挨拶を軽~く済ませようと考えていたことが何だか申し訳なくなった。

同時に、きちんと結婚の申し入れをしてくれた零に感謝の気持ちが溢れた。


結婚式もしない私たちは、きっとこの挨拶が、両親にとって子育ての最後の締めくくりになる。

きちんと区切りをつけられる場にしてくれてありがとう…。
二人を安心させてくれてありがとう…。


やばい…!考えていたら涙が滝のように出てきてしまっている。
くぅっ…、こんなはずじゃなかったのに!!!
もっとスマートに挨拶を終えたかったのに!!!


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