第16章 挨拶へ
「ふふっ。零はさ、子どもっぽいところはあるけど、やっぱりほとんどの部分が大人だね。
何でも私に合わせてくれてる気がする。
セリフのリクエストにも、今日みたいなくだらないおふざけにもバカだなーって笑ってくれるし、同棲で住むところも、入籍の日も、子どものことも……
感情的な口論にならないのは、こうやって零が譲ってくれるからだね。
ありがと。無理、してない?」
「してない。そのくらいのこと、といられるならどうってこともない。
それに、我慢させてるのは僕の方だろ。
結婚式も挙げられない、新婚旅行もいつになるか分からない、普段は写真も撮れない。それ以外にも、嫉妬の機嫌取りまでさせてる。
それでもは、僕を責めることもなく静かに受け入れてくれる。、僕を選んでくれてありがとう。」
「すっかり零に惚れちゃってるからね。
ところでさ、嫉妬のご機嫌取り、最初のころよりかなり上達してると思わない?ふふっ。」
「してるしてる。一瞬で機嫌を戻されるときがあるな。ご褒美の使い方も、完全に手綱を握られてる気分だ。」
「我ながら適応力あるなって思ってる。最初は本当にどうしていいのか分からなかったもん。ほら、あのとき。会社の飲み会のあとに…――」
「思い出したくない。思い出すと腹が立つ。」
「あーーそういえば!入籍日の話してたね。
えっと、希望日はないんだけど、できれば早く結婚したいから、挨拶が終わったあとの大安の日とかでもいいかな?」
「……言っても無駄だとは思うが、僕に気を遣って急がなくていい。日付さえ決めてくれれば待つから。それまで、との婚約期間を楽しませてもらうよ。」
そう言って、私の手を取り、指へ口付けた。
危なかった…!
“嫉妬に時効はない”と言うことを肝に銘じておこう……。