【ごちゃまぜ】SHORT STORY【ヒロアカ】【鬼滅の刃】
第1章 先生、昨晩の件は抹消(キャンセル)で!【 相澤消太 】
***
「ハァーーー……ッ!!」
放課後。
胃に穴があきそうなほどの緊張とストレスに耐えきれず、私は校舎裏の狭い喫煙所へ逃げ込んでいた。
煙草に火をつけ、煙を吐き出しながら天井を仰ぐ。
少しだけ気持ちが落ち着いた、その時。
ガラッとドアが開いた。
「お、お疲れ様です……」
「おう」
入ってきたのは相澤だった。
気まずい。
空間の酸素が薄い。
息ができない。
相澤はポケットから煙草を取り出すと、慣れた手つきで火をつけた。
(ていうか、この人煙草吸うんだ……)
(昨日は吸ってなかったような……あ、昨日はあの後すぐ私が逃げたから、吸う暇がなかっただけか?)
(………いや待て。考えるな私!)
気まずさをごまかすように、仕事の話をする。
1年A組の生徒について。
課題の提出期限について。
これからの指導について。
会話はいたって普通だった。
相澤の態度にも、何の変化もない。
(……もしかして、相澤先生も覚えてない……?)
もしかしたら酔っていたのかもしれない。
暗かったし、顔もよく見えていなかった。
そうだ。
覚えていないなら、このまま何もなかったことにできる。
墓まで持っていけばいいのだ。
勝った。
私の勝ちだ。
心の中でガッツポーズを決め、吸い殻を灰皿に捨てようとしたその時。
相澤が先に煙草を灰皿へ押し付けた。
ぐり、と。
いつもより少し強く。
ジュッ、と火が消える。
「……昨夜は、ずいぶん足が早かったな」
「――え?」
思わず顔を上げる。
相澤は何事もなかったかのように立ち上がると、そのまま横をすり抜けていく。
そして、すれ違いざま。
耳元に低い声を落とした。
「学校じゃ手加減してやるよ。……副担任」
ぞくり、と背筋が震える。
相澤はそれ以上何も言わず、何食わぬ顔で喫煙所を出ていった。
閉じていく扉を、呆然と見つめる。
耳元に残る低い声。
身体に残っている、昨夜の熱。
――無かったことになんて、最初から出来るはずがなかった。
【先生、昨晩の件は抹消(キャンセル)で!】