【ごちゃまぜ】SHORT STORY【ヒロアカ】【鬼滅の刃】
第1章 先生、昨晩の件は抹消(キャンセル)で!【 相澤消太 】
名前も、立場も、理由さえも―――どうでもよかった。
繁華街の路地裏にあるホテルの一室。
明かりの消えた部屋には、軋むベッドの音と荒い息遣いだけが響いている。
「ッ……ちょっと……力、強い……」
「黙れ。声漏れてんぞ」
耳元で落とされた低い声に、背筋がぞくりと震えた。
会話らしい会話なんて何ひとつない。
暗闇の中で見えるのは、鋭い眼差しと、無造作に揺れる黒髪くらい。
「ん、あ……っ」
「……いい顔すんな」
首筋にかかる熱い吐息。
近すぎる体温に、また身体が震える。
この男の名前も、どんな人間なのかも知らない。
それでも――その夜だけは、それでよかった。
夜が明ける前。
男が深く眠りについたのを見計らい、逃げるように服を拾い集めて部屋を抜け出した。
名乗る必要なんてない。
酔った勢いで引っかけた相手だ。
どうせ二度と会うことのない、一夜限りの相手なんだから。