【ごちゃまぜ】SHORT STORY【ヒロアカ】【鬼滅の刃】
第13章 Trick or Secret 〜いつもと違う、彼の顔〜
「と、取れた……?」
「あ、指についちゃいましたね。……ふふ、ちょっと借りていいですか?」
私がその指先を引き寄せ、ペロリと舐めてあげると、先輩の動きがぴたりと止まった。
「……っ!?!?」
ゆでだこのように顔を真っ赤にした先輩は、目を見開いたまま固まってしまった。
「あ……ごめんなさい、からかいすぎちゃい……」
謝ろうとした瞬間、ぐいっと強い力で腕を引かれた。
気づけば、先輩の胸元に抱き込まれていた。
背中に回された手はかすかに震えている。それでも、私を抱きしめる腕はぎゅっと力を増し、離そうとしなかった。
「せ、先輩……っ?」
「……からかうなよ……っ。俺だって……男なんだから……耐えられなくなる……」
私の肩に顔を深く埋めたまま、掠れた声が耳元に落ちる。
服越しに伝わってくる先輩の心臓は、壊れそうなくらい激しく打っていた。
「……こんな可愛いのずるい……。今夜は……帰さないから……」
普段のネガティブで消極的な姿からは想像もつかない、必死で真っ直ぐな男らしさ。
赤くなった顔を隠すように抱きしめられたまま、カボチャの甘い香りに包まれて、二人の特別なハロウィンの夜が更けていった。