第15章 沈黙の恋心
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墓前に花を供えた。
お線香に火をつけて、そっと横たえる。
手を合わせて、目を閉じる。
やっと、いい報告ができるよ。
お姉ちゃん・・・。
2年前、お姉ちゃんが、浩市さんと離婚するって言い出したの、
ほんと、びっくりだったよ。
あんなに仲良かったのにって。
でも、病気だって聞いて、ちょっと納得した。
いいか悪いかは別として、お姉ちゃんらしいと。
『葉月、私、病気なの。ガンだって。
あと、1年、もたないって。』
滅多に泣かないお姉ちゃんが、ぼろぼろ泣いていた。
でも、その涙は、自分のためじゃなかったね。
旦那さん・・・浩市さんに申し訳ないって。
『私が突然死んじゃったら、あの人のことだ、
きっとずっとずっと私を心にしまっちゃう。
二度と、恋ができなくなっちゃう、だから・・・』
だから、病気のことを黙って別れようって。
結果的に言って、お姉ちゃんの作戦は成功だったみたい。
浩市さん、また結婚したよ。
多分、幸せ。
ちょっとだけ、手伝っちゃったけど、
大体お姉ちゃんの予想通り。
すごいよね・・・。すごい、よく浩市さんのこと、分かっていた。
多分、浩市さん、幸せ・・・だけど・・・
でもね、今でも、離婚したの、本当に正しかったかどうか、わかんないよ。
浩市さん、最後までお姉ちゃんといたかったんじゃないかなって。
お姉ちゃん、浩市さんといたかったんじゃないかって。
だから、ひとつだけ、恨み言。
お姉ちゃん、ひどいよ。
私、この秘密、ずっとずっと抱えてなきゃいけないじゃない。
それだけ、恨み言。