第4章 Lazy Night
リカがクロワッサン生地のピザを指先で弄りながら、
画面の中のエイリアンを笑う。
テレビのなかでは美味そうにピザを食う人間に扮したエイリアン。
「子供にだけ正体バレて振り回されてんの、結構好き」
「あー、あのクソガキ。かわいいよね」
俺が何気なく口にした言葉に、リカは楽しそうに答えた。
「あと、こいつさ、
一生懸命人間のフリしてるけど、たまに笑い方とかバグってるじゃん。
なんか妙に冷静なのに変なの。……たまにアンタに似てるよね」
クロワッサンピザと一緒にテイクアウトしたカルパッチョの胡椒の実だけを
自分の皿から器用に俺の皿に移しながら彼女は笑っている。
あの不自然で甲高い笑い声。
人間に擬態するための、不器用で必死な努力。
俺はリカには不器用で必死に見えてるとでも言うのだろうか。
「どうした?いつも、真似してくれるのに、つまんない」
喋るなというのに喋りっぱなし。
当たり前みたいに嫌いなものは俺の皿に移す。
同じものを見せて、共通の話題を増やしていく。
こいつはそういうことを、多分、何も考えずにやっている。
「たまにしかやんねーだろ」
「あれ好きなのになー」
リカはリモコンを操作して、次のエピソードを選択する。
彼女が選んだ、続きを一緒に見るという選択に、
俺はまだこの部屋の相関図の中にいると勘違いしてしまう。
そんなことを思いながら、皿の上で山になった胡椒の実を端に寄せた。