【H×H ミルキ】夏の大作戦 〜軽井沢に行きませんか?〜
第7章 エピローグ
「二人きりで、ずいぶん長いこと動いてないんだねぇ♡」
ヒソカが横から口を挟む。
「そう。おかしいんだよね」
イルミは真剣な顔で頷いた。
「それ、君の弟がGPSを切ったんじゃないかい♤?」
「……何で?」
イルミがようやく顔を上げた。
「いざという時は、俺に連絡をよこす手筈になってるのに」
クロロは呆れる思いでイルミを見た。
ヒソカといい、イルミといい、どちらも自分の関心事となると妙に執念深い。
「ミルキに聞いてみる」
イルミは再びスマートフォンを手に取った。
「連絡がない以上、何かあったのかもしれないしね」
止める間もなく、指先が動く。
『晴天だしプランAだよね? 何かあった?』
ほどなく、短い振動が返ってきた。
『予定はもういいんだよ』
画面を見つめるイルミの指が止まった。
クロロには、なんとなく事情が察せられた。二人きりになった途端、予定などどうでもよくなったのだろう。
大きく瞬きを繰り返すイルミを見ていると、何の義理もないが弟の方に同情したくなる。
「どうやら、うまくいったようだな」
「初デート、大成功ってところかなぁ♡」
ヒソカも同じ見立てらしく、満足げにソファへ身を沈めた。
これで流石にイルミも安心するだろう。
だが、イルミの視線は画面から外れない。
「……困るんだよな」
「何が?」
「予定を勝手に変えられると、次の段取りが組めない」
クロロの眉がわずかに上がった。
「次の段取り? もう今回の任務は完了だろ?」
「うん。でも、ここからが俺の本業だから」
グラスを傾けながら、イルミは続ける。
「そろそろ、ちゃんとしてもらわないと」
「何を?」
イルミはようやく顔を上げた。
「二人の関係」
クロロはしばらく、その顔を見つめた。
冗談を言っているようには見えない。
「……まだ初デートだろう?」
「だから?」