第12章 全て元通り
その箱の大きさで、中身が指輪だということはすぐに分かっただろう。
悟は躊躇なく箱に手を伸ばすと、包装を解いて中身を確認した。
箱の中には、二つの指輪が並んでいた。
「…デザイン、どうかしら…。悟はこういうものは付けないと思うけど…」
そう問いかける椿はひどく緊張していて、テーブルの下で指を重ねて落ち着きなく動かしていた。
その光景はとても滑稽に見えた。
椿なら、『こんなこと』はメッセージ一つで済ませるだろう。
なのにわざわざ自分の誕生日に、来るかも分からない悟の為に用意し、彼を待っていたというのだから。
「…いいと思うよ。椿に似合うだろうね」
悟は自分の指輪より、小さな椿の指輪を見て言った。
シンプルを好む椿らしいデザインで、石の一つも付いていない。
だけどその繊細なデザインは、彼女の細い指に綺麗に映えるだろうと想像出来た。
悟は蓋を閉めると、箱を滑らせて椿の前に戻した。
本当に確認だけして戻す悟に、椿は胸の奥がチクリと痛んだ。
だけどそれは悟らしい想像していた通りの行動だったので、椿はすぐに気を取り直した。